豊平川の石≪ハイアロクラスタイト≫

札幌の母なる川 「豊平川」 は、定山渓の山の奥にその源を持ち、山々を削り、札幌軟石の大地を削り込んで流れています。藻岩山の東から下流では豊平川扇状地を作り、石狩の低地に流れでます。札幌の街は、この扇状地に土台を作り発達してきました。川の水や地下水は古くから利用され、河畔は市民の憩いの場として愛されています。かつて札幌の街の建築材料として利用され、今も採石が行われている札幌軟石もあります。上の写真は、藻南公園から見える豊平川中流。この一帯は、今から約3万2千年前に支笏火山(現在は支笏湖)から流れてきた軽石流がここで止められたと言われているそうです。藻南公園は札幌扇状地の扇頂(扇状地の始まった部分)になるそうです。

札幌市南区にある藻南公園付近(藻南橋北側付近)の豊平川河床や川を挟んだ対岸の崖には、大小の礫がたくさん入った灰色の地層があります。地質の文献を読んでみますと・・・

河床から崖の中段までは火砕流堆積岩で、上段は層理や斜交葉理が発達する土石流状の火山性砂礫岩であるそうです。海水中に噴出した溶岩が急に冷やされたり発砲することで破砕し、様々な大きさの岩塊や角礫、ガラス片のかたまりとして堆積したもので、ハイアロクラスタイト(水冷破砕岩)と呼ばれるものです。このハイアロクラスタイトには、凝灰質砂岩を挟む層相が見られることから、複数回の溶岩の噴出があったと思われます。公園の下流側の河床では、このハイアロクラストと下位に位置する泥岩層との層境が見られるそうです。札幌市内にいながら雄大な景観が見れる豊平川のハイアロクラスタイト。皆さんもお散歩がてら見に行ってみてください。